お金のかからない(お金のたまる)ダイエット法

お金のかからない(お金のたまる)ダイエット法今日はお金のかからない、逆にお金のたまるダイエットの話をしましょう。

お金のかからない(お金のたまる)ダイエット法
さて、皆さん、この方(銘苅圭伸さん47歳)の体重は何kgだと思いますか。まるで相撲部屋の親方のようですね。実は134kgです。普段、胸部症状もなく『自分は太ってはいるが、症状もないから大丈夫』と高をくくって生活していました。独身でスモーカーで暴飲暴食の大食漢でした。酒は1升飲むことも平気だったそうです。中性脂肪の値は何と1259mg/dLと1000をはるかに超えていました。運動もしていませんでしたので善玉コレステロール(HDL-C)は34mg/dLと低値でした。

この方が平成20年12月31日に医療機器関連の会社の同僚達とサイクリングレースに参加中、坂道を登りきってあと、一時休憩しようと、同僚と共に休んで座っている際に急に倒れたのです。傍にいた会社の同僚たちが心肺停止状態になっていることにすぐに気付き、直ちに心肺蘇生術を開始しました。一人は心臓マッサージを、一人は人工呼吸を行いつつ他の一人が救急車を要請しました。救急隊員が到着して診た時点でも脈は触れず呼吸もしておらず、引き続きCPR(心肺蘇生術:心臓マッサージと人工呼吸)を続行しつつ、体外式除細動器による電気的除細動(いわゆる電気ショック)が救急車の中そして救急病院搬入後も行われ、都合13回電気ショックをかけられました。県立南部医療センター・こども医療センターの救急室へ搬入されたあと、ただちに気管内挿管が行われ中心静脈路、末梢点滴路が確保されて強心剤などの薬物投与が開始されて自己の心拍動が出てきました。心臓が正常に動きだして生き返ったのです。血液検査・心電図から心筋梗塞を起こしていることが判明したため、緊急冠動脈造影が行われましたが、検査途中でも血圧が低下してきて危険な状態になってきたため、大腿動脈から心臓の冠動脈循環を補助するためのバルーンカテーテルが挿入され、IABPという救命装置がセッティングされ稼働開始されました。命を救うためのありとあらゆる措置を講じながら、冠動脈造影を行い、詰まっている冠動脈を風船治療で拡張し、血栓が末梢へ飛ばないように血栓吸引も行い、冠動脈2か所にステントという、冠動脈が再び詰まらないように拡張させておくデバイスを留置して一命をとりとめました。心臓が止まってからただちに心肺蘇生術が開始されたおかげで命が助かり、意識も正常に回復しましたが、もし、同僚たちが心肺蘇生術を知らず、心肺蘇生術の開始が遅れて4分以上脳に血液が行っていなければ、例え心臓が動き出して命が助かっても脳は元に戻らず、一生寝たきりの植物人間になっていたことでしょう。一過性の脳虚血に陥っていたため一時言語障害が出ていたようですが、言語リハビリテーションにて完璧に元に戻りました。

以上のようなすごい経過の後、車いすではなく、ちゃんと自分の足で歩いて無事退院することができました。


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この方が心筋梗塞に陥った原因はもう言わなくても分かるでしょう。たばこと肥満なのです。タバコのニコチンで冠動脈の内皮細胞が損傷されて剥ぎとられ、その下のざらざらした露出面から悪玉コレステロールや中性脂肪が動脈の壁の中へしみこんでいって血管はぼろぼろになり、そこへ血栓ができてへばりつき、血小板も凝集してへばりつき、冠動脈の内腔はどんどん狭くなってきて血流が悪くなって行っていたのです。そして、サイクリングという過激な運動によって汗をいっぱいかき、血管内の水分はどんどん減っていって脱水状態となり、血液はドロドロに粘っこくなり、ついには狭くなった冠動脈が詰まって血液が流れなくなり、心筋梗塞に陥ってしまったのです。

さて、皆さん、九死に一生、いえ九十九死に一生を得たこの方が二度とこのような目に遭遇しないようにするにはどうしたらいいと思いますか?

答えは実に単純で簡単なことなのです。

そう、禁煙とダイエットをちゃんと実行すればいいのです(酒は休肝日をしっかりつくって、呑みすぎないように適量を呑めば問題ありません)。

140kg近い体重の体を安全域までダイエットに成功させる術はあるのでしょうか?

この方は実は、その最適な方法を自分で考えて実行して成功したのです。すなわち、自分で5つのルールをつくり、それを確実に実行したのです。

① 禁煙を厳守実行する。
② 禁酒を厳守実行する。
③ 1800~2000kcal/日の食事を自分で造って朝・昼・夕3食たべる。
④ 間食は一切しない(3時のおやつも無し。カロリーゼロの水分はOK)。
⑤ 外食は一切しない(慶事・法事での食事はOK,ただし少なめに食する)。


まず、禁煙・禁酒を実行しました。そして、独身である彼は、自分で食材を買い出しして自分で1日3食の食事をつくるようになりました。食品交換表を参考に、1日1800~2000kcalの献立を造って食するようになりました。

そして、すごいことは、間食は一切摂らないことにしたのです。そして、さらにすごいことは、外食は一切しないことにし、実行したことです。

最初は、ひもじい思いがしたようですが、くじけずに自分の信念を貫き通しました。すると、ひもじい思いが段々出なくなり、1か月に1.5~2.0kgずつ徐々に確実に体重が減少していったのです。極端に月5kgとか10kgとか15kg落とすようなことはせず、徐々に均等に体重を落としていったのです。そのため、リバウンドも無く、確実に体重を落としてゆくことが出来たのです。

最初、この食事療法に加えて、普段全くしてなかったウォーキングを始めてみたところ、15分も歩いたところで、両膝関節痛と腰痛が出現して歩けなくなるため、体重が100kgを割るまでは運動療法としてのウォーキングは辞めて室内での体操・筋トレ等をしていました。そして100kgを切ったあたりからウォーキングを始めたところ1時間近く歩けるようになり、体重も順調に落ちて行きてました。そして体重減少と共に歩ける距離はどんどん伸びて行ったのです。


そして3年以上経過した現在の姿が下の写真です。びっくりです!まるで別人です!現在の体重は71~72kg前後で、今も少しずつ落としていっています。

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超肥満時1259mg/dLだった中性脂肪は現在54mg/dLに減少、34mg/dLだった善玉コレステロール(HDL-C)は63mg/dLに増加、動脈硬化の危険性を表すLDL/HDL比は2.5から理想的な1.5以下の1.3に改善しており、完璧に健康な体になっています。
現在自宅から会社までの約8kmを毎日往復歩いて通勤されています(片道約1.5時間)。天気の悪い日は車で出勤しますが、その時は帰宅してから自宅近辺を2時間ウォーキングされています。ですから、善玉コレステロールが減ることは絶対にありません。

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この写真は現在の銘苅さんの顔写真とお腹の写真です。肥満時の時の顔写真と比べると全く別人です。
お腹の皮膚も、皺(しわ)はありますが思ったほど垂れ下がってはおりません。よくテレビに出てくる超肥満の人がダイエットのあとにエプロンのように垂れ下がった皮膚を切除する手術を受けるようなことはありません。急激なダイエットはせずにゆっくりと体重を落としてゆけば、皮膚も引き締まりながら凹んでゆくので皺も少なくて済むのです。


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先日、本人に質問してみました。『もし、130kg以上の超肥満体の時に、私が「こんなに太っていて、スモーカーで暴飲暴食し、中性脂肪も1000を超えていたら、いつか脳梗塞・脳動脈瘤破裂による脳出血・くも膜下出血・心筋梗塞・胸部大動脈瘤破裂・腹部大動脈瘤破裂・下肢動脈閉塞による下肢切断・肺癌・舌癌・咽頭癌・喉頭癌・胃癌・肝臓癌・膵臓癌・腎臓癌・前立腺癌など、大変な病気を発症して命を落としてしまいますよ。今すぐに禁煙し、酒は休肝日を造って節酒し、ダイエットに努めて体重を落とさないと大変なことになりますよ。」と勧めたら、禁煙・節酒を実行してダイエットに努めたと思いますか?』と。

すると、答えはNoでした。

『胸の痛みも、息苦しさもなく、困る症状は一切ありませんでしたし、いまさらひもじい思いをしてダイエットするなんて考えられなかったと思います。』と。

『じゃあ、何故、今、ダイエットに成功して健康体を取り戻すことが出来たのですか?』と訊くと、『今回、私は死ぬ思いをしましたから、生まれ変わったつもりで一念発起出来たのです。』と答えられました。

そうなのです。皆さん、人間、死ぬ思いを経験すると何でも出来るのです。

この方は実は『死ぬ思い』どころか、心臓も呼吸も止まり、本当に一時的に『死んでしまっていた』のです。心肺蘇生術を心得ていた同僚達が周りにいたから、助かったのです。あの時、この同僚達がいなかったら、今頃、この方はこの世の人ではなかったのです。

 先日、本人に『銘苅さんの経験を、ダイエットできないであきらめている患者さんに是非みせて啓蒙したいので写真を提供してくれませんか?』とお願いしましたところ、快く引き受けてくださり、『どうぞ利用してください。私の本名も年齢も出して下さって結構です。目隠しやぼかしも入れずに、ありのままの写真を掲載されて結構です。』とおっしゃってくださいました。

さて、実際に『先生、私、食べる量を減らしても体重へりませんよ!』と言っていた患者さんにこの写真をお見せして、『為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり、ですよ。そろそろ真剣モードでダイエットに取り組んでみませんか?』というと、『あぁ、やればできるんだ!私頑張ります!』といって、ダイエットに努力される患者さんが増えてきて、実際に成功してきています。

お医者さんは、『大変な病気になりますよ』と、病気の怖い話をする必要は無いのです。ダイエットに成功した人の体験をありのままにお見せするだけでいいのです。ダイエットするのに、高いサプリメントを買ってきて、短時間で楽して痩せようと思う必要は無いのです。心ひとつで、お金をかけずに時間をかけてゆっくりと実行すればちゃんと出来るのです。この方はダイエットにお金がかかるどころか、節約できたタバコ代・酒代・外食の飲食代・出勤に使う車の燃料費・健康になった分減らすことのできた薬代などで100万円以上の貯金が出来たはずです。

お金をかけずに、お金がたまるダイエット法があることを、皆さんに是非知ってもらいたいと思います。

最後に、写真を提供してくださった銘苅圭伸さんに心から感謝致します。

さあ、肥満で悩んでいるみなさん、標準体重より10~30kgオーバーしていても、あきらめずに、今日からお金のかからないダイエットをすれば、あなたにもスリムな素晴らしい健康体がもどってきますよ!。


『為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり。』です。


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みんなで頑張って、『沖縄県は断トツで日本一肥満の県』という汚名を返上し、『長寿でスリムで健康な沖縄県』を取り戻すため、努力しましょう。



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